
年金改革法案、閣議決定予定(16日)!パート厚生年金どうなる?103万円・106万円の壁、社会保険適用促進手当も解説
【この記事のポイント(2025年5月13日 19:50 JST現在)】
- 2025年5月13日、自民党総務会が年金制度改革法案(仮称)を了承。政府は5月16日にも閣議決定する方針です。ただし、国会への提出時期や審議入りは現時点では未定です。
- 法案の大きな柱として、パート・アルバイトなど短時間労働者への厚生年金適用拡大が検討されています。これは主に「106万円の壁(社会保険の壁)」に関連する見直しとなる可能性があります。
- 「103万円の壁(税金の壁)」との違い、2023年10月から始まった「年収の壁・支援強化パッケージ(社会保険適用促進手当など)」、今後の審議日程など、現時点でわかっている情報を専門的に解説します。
- 法案の具体的な内容や施行時期は、今後の国会審議や政府からの詳細発表で明らかになります。引き続き最新情報にご注意ください。
私たちの老後や働き方に深く関わる年金制度について、新たな動きが報じられました。2025年5月13日、自民党の総務会で、国会への提出が予定されている年金制度改革法案(仮称)が了承されました。複数の報道によると、政府は5月16日にもこの法案を閣議決定する方針です。しかし、その後の国会提出の具体的な日程や、いつ審議が始まるかについては、現時点(2025年5月13日 19:50 JST)ではまだ明らかになっていません。
今回の改革案の中でも特に注目されているのが、パートタイムやアルバイトといった短時間で働く方々への厚生年金の適用拡大が検討されている点です。よく耳にする「103万円の壁」や「106万円の壁」と今回の改正案はどう関係するのでしょうか?また、2023年10月から始まっている「年収の壁・支援強化パッケージ」についても触れながら、法案の概要やポイント、そして今後の動向について、最新情報に注意しつつわかりやすく解説していきます。
年金制度は複雑で、改正のたびに「結局何が変わるの?」と不安に感じる方も多いかもしれません。特に、ご自身の働き方や家計に直結する可能性のあるパートの方々の厚生年金加入や、いわゆる「年収の壁」については、関心が高いテーマです。それでは、まずは今回の年金制度改革法案で何が議論され、決定されようとしているのか、その全体像から見ていきましょう。ただし、法案の正式名称や詳細な条文、具体的な施行時期などは今後の国会審議や政省令で決まる点にご留意ください。
【最新情報】年金制度改革法案(仮称)、閣議決定へ
まずは、今回の年金制度改革法案(仮称)に関する最新の動きと、その背景について確認しましょう。繰り返しになりますが、情報は流動的であり、今後の報道や公式発表にご注意ください。
自民党総務会が了承、閣議決定の方針は?
2025年5月13日、自民党の総務会は、政府が今国会に提出を目指す年金制度改革関連法案(仮称)を了承しました。これは、法案が国会に提出されるための党内手続きが完了したことを意味します。複数の報道(毎日新聞、朝日新聞、テレビ朝日など、2025年5月13日付)によると、政府は、この了承を受けて、5月16日にも法案を閣議決定する方針です。閣議決定されれば、法案は速やかに国会に提出される運びとなります。
この法案を巡っては、夏の参議院選挙への影響などを懸念する声もあり、党内調整が難航していたと伝えられていましたが、今回ようやく提出への道筋が見えてきた形です。
今後のスケジュール(閣議決定予定から施行まで)
今後の大まかなスケジュールは以下のように想定されますが、各段階の具体的な日程は未定であり、国会の状況によって大きく変動する可能性があります。
- 2025年5月13日党総務会で了承済み
- 2025年5月16日(予定)政府による閣議決定 (あくまで方針)
- 時期未定国会へ法案提出
- 時期未定国会(衆議院・参議院)での審議・採決 (今国会での成立目標)
- 時期未定法案成立・公布
- 時期未定施行 (具体的な施行日は政省令で規定、準備期間が必要)
法案が国会に提出されると、厚生労働委員会などで詳細な内容が議論され、その後、本会議での採決を経て成立を目指すことになります。政府与党は今国会での成立を目指す考えとされていますが、野党からは法案内容が不十分だとの批判も出ており、審議の行方は今後の国会の状況次第となります。
仮に今国会で成立した場合でも、具体的な施行時期や制度の細かな内容は、法案そのものや、その後制定される政令・省令によって決まります。 多くの場合、準備期間などを考慮して、公布から一定期間をおいて施行されることになります。
なぜ今、年金制度改革が議論されているのか?(背景)
日本の年金制度は、少子高齢化の急速な進展や働き方の多様化といった社会経済情勢の変化に対応するため、これまでも定期的に見直しが行われてきました。「人生100年時代」と言われるようになり、より長く働く人が増える中で、誰もが安心して老後を迎えられるような持続可能な制度を構築することが大きな課題となっています。
特に、パートタイム労働者など、これまで厚生年金の適用対象外だった方々をいかに制度に取り込み、老後の所得保障を手厚くしていくかは重要な論点の一つです。今回の改革案も、こうした背景のもとで議論が進められてきました。
注目!パート・アルバイトの厚生年金適用拡大、どうなる?
今回の年金制度改革法案(仮称)で、多くの方が最も関心を寄せているのが、パートタイムやアルバイトとして働く短時間労働者への厚生年金適用の拡大が検討されている点でしょう。この改正案を理解する上で重要な「年収の壁」についても触れながら、具体的にどのような内容が議論されているのかを見ていきましょう。最終的な内容は今後の国会審議で決定されます。
現在の厚生年金加入条件をおさらい
まず、現在の厚生年金の加入条件を確認しておきましょう(出典:厚生労働省「従業員数500人以下の事業主のみなさまへ」等)。会社員や公務員などが加入する厚生年金ですが、パート・アルバイトの方でも、以下の4つの条件を基本的に全て満たす場合は加入対象となります(2024年10月時点の主な条件)。
- 1. 週の所定労働時間が20時間以上
- 2. 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)
- 3. 勤務期間が2ヶ月を超える見込みがある(2022年10月~)
- 4. 学生ではないこと
これらに加え、勤務先の企業規模も関係します。2024年10月からは従業員数「51人以上」の企業が対象となっています(厚生労働省資料より)。これらの条件は、これまでも段階的に見直されてきました。
【コラム】「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」の違いは?
パートやアルバイトで働く際によく耳にする「年収の壁」。代表的なものに「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」がありますが、これらは異なる制度に関連しています。今回の年金改革法案が主に影響を及ぼす可能性があるのは、「106万円の壁」に関連する社会保険の加入条件です。
| 年収の壁 | 主に影響する制度 | 概要・影響 |
|---|---|---|
| 103万円の壁 (税金の壁) |
所得税 | ・本人の所得税がかかり始めるライン(基礎控除48万円+給与所得控除55万円=103万円)。 ・配偶者控除が適用されなくなるライン(配偶者特別控除の対象にはなり得る)。 |
| 106万円の壁 (社会保険の壁) |
社会保険 (厚生年金・健康保険) |
・上記の4要件を満たす場合、社会保険の加入義務が発生する年収の目安(月額賃金8.8万円以上)。 ・社会保険料の負担が発生するが、将来の年金増や手厚い保障のメリットも。 |
| 130万円の壁 (扶養の壁) |
社会保険 (扶養の範囲) |
・被扶養者として配偶者等の社会保険に入れるかどうかの収入上限の目安(勤務先の規模などによらず適用)。 ・これを超えると自身で国民年金・国民健康保険に加入するか、勤務先の社会保険に加入する必要がある。 |
今回の年金制度改革法案(仮称)は、主にこの表の「106万円の壁(社会保険の壁)」、つまり厚生年金や健康保険への加入条件の変更が議論されています。「103万円の壁(税金の壁)」そのものを直接変更するものではありませんが、社会保険への加入しやすさが変わることで、103万円を超えて働くかどうかの判断に影響を与える可能性はあります。詳細は今後の発表を待つ必要があります。
法案でどう変わる?「年収106万円の壁」見直しの行方
報道によれば、特に注目されているのが、パート労働者などが厚生年金に加入するための「年収106万円の壁」と呼ばれる賃金要件(月額8.8万円以上)の見直しが検討されている点です(出典:毎日新聞、名古屋テレビ【メ~テレ】2025年5月13日付報道など)。今後の国会審議で具体的な内容が明らかになる見通しですが、この要件がどのように変更されるか、あるいはされないかによって、多くの方の働き方に影響が出る可能性があります。
もしこの賃金要件が見直される(例えば、撤廃や引き下げなど)ようなことがあれば、より多くの方が厚生年金のメリットを受けられるようになる一方で、新たに保険料負担が発生することになります。どのような結論になるか、引き続き情報を注視していく必要があります。
【補足】106万円の壁、撤廃時期は最短2026年10月との観測も
「106万円の壁」の賃金要件については、2022年以降、政府の審議会などで撤廃に向けた議論がなされてきました。一部報道(例:エデンレッドジャパン「年収の壁とは?支援強化パッケージで何が変わる?」等)では、政府の審議メモに基づき、最短で2026年10月からの撤廃が検討されているとの観測も出ています。ただし、これはあくまで現時点での議論の状況であり、今回の法案で具体的にどうなるかは未定です。今後の公式発表が待たれます。
企業規模要件の変更は?議論のポイント
厚生年金の適用対象となる企業の規模要件も、これまで段階的に緩和されてきました。2024年10月からは従業員数「51人以上」の企業が対象となっています。
今回の法案で、この企業規模要件がさらに見直されるのかどうかも議論のポイントの一つとされています。仮に企業規模要件がさらに緩和、あるいは撤廃されるようなことがあれば、より小規模な事業所で働くパート・アルバイトの方も厚生年金に加入しやすくなる可能性があります。こちらも今後の審議や発表で詳細が明らかになるでしょう。
【重要】「年収の壁・支援強化パッケージ」とは?(社会保険適用促進手当など)
「年収の壁」を意識せずに働ける環境整備の一環として、政府は2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」を実施しています(出典:厚生労働省)。このパッケージには、以下のような取り組みが含まれています。
- キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース): 短時間労働者を新たに社会保険に適用させた事業主に対し、労働者の収入を増加させる取り組み(例:手当支給、賃上げ)を行った場合に助成金を支給。
- 社会保険適用促進手当: 上記助成金を活用し、事業主が労働者に支給する手当。この手当は、社会保険料算定の基礎となる標準報酬月額の算定対象に原則として含まれません(最大2年間)。
- その他: 配偶者手当の見直し促進、事業所内での意識啓発支援など。
特に「社会保険適用促進手当」は、新たに社会保険に加入することによる手取り収入の減少を緩和するための実務的な対策として注目されています。今回の年金制度改革の議論と合わせて、こうした既存の支援策についても理解を深めておくことが大切です。
適用拡大で考えられるメリット・デメリット
仮に厚生年金の適用が拡大された場合、一般的に以下のようなメリットとデメリットが考えられます。
【考えられるメリット】
- 将来受け取れる老齢年金(基礎年金+厚生年金)の額が増える可能性がある。
- 病気やケガで働けなくなった場合の障害厚生年金や、万が一亡くなった場合の遺族厚生年金といった保障が手厚くなる可能性がある。
- 会社の健康保険にも加入できる場合があり、国民健康保険料の負担がなくなる(または軽減される)可能性がある。
【考えられるデメリット・注意点】
- 厚生年金保険料を負担する必要があるため、手取り収入が減少する可能性がある。
- 扶養内で働きたいと考えていた方は、働き方の調整が必要になる場合がある(特に130万円の壁との関連も注意)。
これらのメリット・デメリットを総合的に考慮し、ご自身のライフプランや働き方に合わせて判断していくことが重要になります。制度変更が確定した際には、改めて自身の状況を確認しましょう。
プラチナちゃん:「106万円の壁」が見直されるかもしれないのね!「社会保険適用促進手当」っていうのもあるんだ。でも、まだどうなるか決まってないことが多いのね。ちゃんと情報を確認しないと。
ミントちゃん:その通りです。今回の改正案は「106万円の壁」など社会保険の加入条件の見直しが中心に議論されています。既存の支援策も活用しつつ、まだ検討段階ですので、今後の国会審議や政府からの発表をしっかり確認することが大切ですよ。
厚生年金に加入すると、私たちのメリットは?
では、具体的に厚生年金に加入すると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。主なポイントを整理してみましょう。
将来もらえる年金額が増える可能性
日本の公的年金制度は、基本的に2階建て構造になっています。1階部分が全国民共通の「国民年金(基礎年金)」、そして2階部分が会社員などが加入する「厚生年金」です。厚生年金に加入すると、この2階部分が上乗せされるため、将来受け取れる老齢年金の額が増えることになります。
厚生年金の受給額は、加入期間や現役時代の収入(標準報酬月額)に応じて決まります。加入期間が長く、収入が高かった人ほど、多くの年金を受け取れる仕組みです。パート・アルバイトの方も厚生年金に加入することで、この上乗せ部分を増やすことが期待できます。
障害年金や遺族年金の保障も手厚くなる可能性
厚生年金に加入するメリットとして期待されるのは、老後の年金だけではありません。病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に支給される「障害年金」や、加入者が亡くなった場合に遺族に支給される「遺族年金」においても、国民年金のみの場合に比べて保障が手厚くなることが一般的です。
例えば、障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、厚生年金加入者であれば、障害の程度に応じて両方を受け取れる可能性があります。また、遺族年金も同様に「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、厚生年金加入者の遺族はより手厚い保障を受けられる場合があります。万が一の事態に備えるという意味でも、厚生年金加入は大きな安心材料となり得ます。
健康保険の選択肢も変わる可能性
厚生年金とセットになっているのが、会社の健康保険(被用者保険)です。厚生年金の適用拡大に伴い、これまで国民健康保険に加入していたパート・アルバイトの方が、勤務先の健康保険に加入できるようになるケースがあります。
会社の健康保険に加入すると、保険料は会社と折半になるため、国民健康保険料を全額自己負担していた場合に比べて、保険料負担が軽減されることがあります。また、健康保険組合によっては、独自の付加給付(例:傷病手当金の上乗せなど)が受けられる場合もあります。ただし、扶養に入っていた方が新たに被保険者となる場合は、保険料負担が発生することになりますので注意が必要です。
プラチナちゃん:厚生年金に入ると、将来もらえる年金が増えるかもしれないし、もしもの時の保障も手厚くなるかもしれないのね。メリットは大きそうだけど、やっぱり保険料も気になるわ。
ミントちゃん:そうですね、メリットは期待できますが、保険料の負担も必ず考慮しなければなりません。次のセクションで、保険料の基本的な考え方と、手取り収入への影響について見ていきましょう。ただし、具体的な料率は制度変更が確定してから確認が必要です。
気になる保険料負担、どうなる?
厚生年金に加入する場合、やはり気になるのは保険料の負担です。どのくらいの保険料を支払うことになるのか、基本的な考え方を見ていきましょう。実際の負担額は、制度の詳細が決まってから個別に確認が必要です。
厚生年金保険料の基本的な計算方法
厚生年金の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率を掛けて計算され、その半額を被保険者が、残りの半額を事業主(会社)が負担します。保険料率は、法律で定められており、2017年9月以降は18.3%で固定されています(2025年5月現在。このうち被保険者負担は9.15%)。
つまり、ご自身が負担する保険料は、標準報酬月額 × 9.15% および 標準賞与額 × 9.15% となります。標準報酬月額は、毎月の給与額を一定の幅で区分したもので、日本年金機構のウェブサイトなどで確認できます(標準報酬月額表へのリンク例:日本年金機構 ※リンク先は適宜最新のものをご確認ください)。
新たに加入対象となる場合の保険料シミュレーション(試算例)
例えば、現在の制度のもとで、月収10万円(標準報酬月額98,000円と仮定)の方が厚生年金に加入した場合、ご自身が負担する厚生年金保険料は、98,000円 × 9.15% = 8,967円(令和2年9月分からの保険料額表に基づく)となります。月額約9,000円と考えると、年収120万円(賞与なしの場合)であれば、年間約10.8万円の保険料負担となります。
ただし、これはあくまで現行制度に基づく概算であり、試算例です。正確な保険料額は、勤務先の給与体系や日本年金機構の定める標準報酬月額表に基づいて計算されます。また、健康保険料も別途発生しますので、注意が必要です。制度改正があった場合は、この限りではありません。
【注意】このシミュレーションはあくまで目安であり、個別の状況によって異なります。正確な金額は、日本年金機構のサイトや勤務先にご確認ください。
手取り収入への影響は?注意点
新たに厚生年金に加入する場合、毎月の給与から保険料が天引きされるため、手取り収入は減少することになります。例えば、上記の月収10万円のケースでは、約8,967円が厚生年金保険料として引かれることになります(健康保険料も別途考慮が必要です)。
一方で、将来受け取れる年金額が増えるというメリットが期待できます。短期的な手取り額の減少と、長期的な老後の所得保障の充実を天秤にかけ、ご自身のライフプランや家計状況に合わせて検討することが大切です。制度変更の詳細は、必ず公式発表で確認しましょう。
プラチナちゃん:やっぱり手取りは減っちゃうのね…。でも、将来のためと考えれば、一概に損とは言えないのかも。ちゃんと計算して、家族とも相談しなきゃ。
ミントちゃん:おっしゃる通りです。目先の収入だけでなく、将来の安心も考慮して総合的に判断することが重要です。今回の法案の行方や、もし制度が変わる場合の具体的な内容をしっかり把握した上で、ご自身の状況に合わせて検討してくださいね。
年金改革の歴史と今回の位置づけ
日本の年金制度は、社会の変化に合わせて何度も改正が重ねられてきました。今回の改革案は、これまでの流れの中でどのように位置づけられる可能性があるのでしょうか。
これまでの主な年金制度改正の流れ
日本の公的年金制度は、1961年に国民皆年金体制が実現して以降、大きな改正を繰り返してきました。例えば、以下のような改正がありました。
- 基礎年金の導入(1985年改正)
- 年金支給開始年齢の段階的な引き上げ
- 保険料水準の固定とマクロ経済スライドの導入(2004年改正)
- 短時間労働者への被用者保険適用拡大(2016年改正以降段階的に)
- 年金受給開始時期の選択肢拡大(繰り上げ・繰り下げ受給の年齢拡大など)
これらの改正は、主に少子高齢化への対応、給付と負担のバランス調整、働き方の多様化への対応などを目的として行われてきました。
今回の改革案、当初検討されていた内容は?
今回の年金制度改革に向けては、厚生年金の適用拡大の他にも、いくつかの論点が議論されていたと報じられています。例えば、国民年金(基礎年金)の給付水準を底上げするために、厚生年金の積立金を活用する案なども議論されていましたが、関係者からの反発もあり、今回の法案には盛り込まれなかったと伝えられています。
このように、年金制度改革は多くの利害が絡み合うため、全ての課題が一挙に解決されるわけではありません。今回の法案も、そうした複雑な調整の結果として出てきたものと考えられます。
今後の年金制度、私たちはどう向き合うべき?
年金制度は、私たちの老後の生活を支える重要な柱ですが、その制度を持続可能なものにしていくためには、私たち一人ひとりが制度に関心を持ち、理解を深めることが不可欠です。少子高齢化が今後も進む中で、年金制度を取り巻く環境は厳しさを増していくことが予想されます。
公的年金だけに頼るのではなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった私的年金や資産形成の手段も活用しながら、主体的に老後の生活設計を考えていく姿勢がますます重要になるでしょう。今回の制度改正の議論も、そうした自身のライフプランを見つめ直す一つのきっかけと捉えることができます。
年金改革法案、専門家の見解は?(一般的な論点)
今回の年金改革法案(仮称)について、専門家からは様々な意見が寄せられています。ここでは、一般的な論点として挙げられる期待と課題について触れておきます。(※実際の記事公開時には、具体的な専門家(例:日本年金機構OB、社会保険労務士など)のコメントを引用することが望ましいですが、現時点では一般的な論点の紹介に留めます。)
期待される効果についての意見
厚生年金の適用拡大は、非正規雇用で働く人々のセーフティネットを強化し、格差是正につながるという点で評価する声があります。特に女性や高齢者の就労が増える中で、より多くの人が厚生年金の恩恵を受けられるようになることは、老後の所得保障の安定化に寄与すると期待されます。
また、企業にとっては、社会保険料負担が増えるという側面もありますが、従業員の福利厚生を手厚くすることで、人材確保や定着につながる可能性も指摘されています。
懸念点や課題についての意見
一方で、適用拡大によって新たに保険料負担が発生する低所得者層への配慮や、中小企業における保険料負担増への対応が課題として挙げられます。また、扶養内で働くことを希望していた人々にとっては、働き方の見直しを迫られる可能性があり、丁寧な情報提供とサポートが必要との意見もあります。
さらに、基礎年金の底上げ策が見送られた点など、年金制度全体の持続可能性や給付水準の確保という根本的な課題については、引き続き議論が必要であるという指摘も根強くあります。
まとめ:今後の審議と詳細発表に注目!働き方を見直す機会に
今回は、自民党総務会で了承された年金制度改革法案(仮称)、特にパート・アルバイトの方々への厚生年金適用拡大の検討状況を中心に、「103万円の壁」や「106万円の壁」との関連性、そして「年収の壁・支援強化パッケージ」についても触れながら解説しました。法案は今後、閣議決定を経て国会で審議されることになります。
厚生年金の適用拡大が実現すれば、将来の年金受給額が増える、万が一の保障が手厚くなるといったメリットが期待される一方で、保険料負担が発生するという側面もあります。ご自身の働き方やライフプランにどのような影響があるのか、今後の法案の詳細や国会審議の行方、そして政府からの正式な発表にくれぐれもご注意いただき、正確な情報を得ることが大切です。
この機会に、ご自身の年金制度への理解を深め、将来の生活設計について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
年金改革法案(仮称)と「年収の壁」に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 今回の年金改革法案で、パートの厚生年金加入はいつから変わる可能性がありますか?
A1. 現時点(2025年5月13日)では法案はまだ国会に提出されておらず、具体的な施行時期は未定です。法案が成立した場合でも、その内容や関連する政省令によって施行日は定められます。段階的な変更となる可能性も考えられますので、今後の公式発表を必ずご確認ください。
Q2. 厚生年金に加入すると、必ず将来もらえる年金は増えますか?
A2. 厚生年金に加入することで、国民年金(基礎年金)に上乗せされる報酬比例部分が増えるため、一般的には将来の年金額増加につながると考えられます。ただし、加入期間や納めた保険料に応じて受給額が変わります。
Q3. 「106万円の壁(社会保険の壁)」が見直されると、どうなりますか?
A3. 「年収106万円の壁(月額賃金8.8万円)」の条件が仮に見直され、例えば撤廃を含む案が検討・決定された場合、これまで年収を抑えて働いていた方も、厚生年金の加入対象となる可能性があります。これにより社会保険料の負担が発生しますが、将来の年金受給額が増え、保障も手厚くなることが期待されます。働き方の選択肢が広がる可能性もありますが、具体的な変更内容は今後の審議で決まります。
Q4. 年収103万円以内で働いています。今回の改正案で何か影響はありますか?
Q5. 「103万円の壁」と「106万円の壁」、結局どちらを気にすればいいのですか?
Q6. 配偶者の扶養に入っていますが、厚生年金に加入すると扶養から外れるのですか? 所得税の扶養控除への影響は?
参考リンク
- 厚生労働省:年金制度の概要・解説(※具体的な法案情報については、今後更新される可能性があります)
- 日本年金機構
- 厚生労働省:「年収の壁・支援強化パッケージ」について
- 日本年金機構:厚生年金保険料額表(令和2年9月分~)(※最新の料額表をご確認ください)
- 毎日新聞 (トップページ等。該当記事は適宜検索・指定)
- 朝日新聞デジタル (トップページ等。該当記事は適宜検索・指定)
- テレ朝news (トップページ等。該当記事は適宜検索・指定)
※この記事は2025年5月13日現在の情報に基づき作成しており、法案の内容や審議状況は変更される可能性があります。最新の情報は必ず厚生労働省や関連省庁、報道機関の公式発表をご確認ください。
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